マルチフィジックスCFD

 数値流体力学(CFD)は、1950年代から数値計算手法とコンピュータの発展に合わせて進化し続けてきたが、約70年を経た現在かなり成熟域に達した学問である。CFD商用アプリも普及して、世界中の製造業ですでに広く利用されており、自動車、航空機、ロケット、新幹線など、流れを伴う機械の設計において最も貢献している学問の一つである。一方で、流体は、水や空気の流れのみならず、様々な付随的物理現象を伴う。たとえば、気体・液体・固体が混在する混相流、凝縮や蒸発などの相変化を伴う流れ、燃焼や反応など化学変化を伴う流れ、特異な物性を示す超臨界流体、摩耗や付着など固体との相互作用を伴う流れなど、様々ないわゆるマルチフィジックス熱流動が未解明のままである。これらの複雑な熱流動問題を数値計算により解明する、マルチフィジックスCFDの研究はまだまだ発展途上にある。我々の研究室ではその中でも、凝縮を伴う湿り空気流れ、湿り蒸気流れ、そして臨界点近傍で特異な熱物性を伴う超臨界流体に焦点を当てて、それらを支配する数理モデル、数値計算手法を研究開発している。さらに、ガスタービンコンプレッサーの湿り空気流れ、蒸気タービンの湿り蒸気流れ、超臨界水熱合成、超臨界二酸化炭素急速膨張法、超臨界二酸化炭素発電、超臨界オクタン再生冷却などの具体的な工学問題を解明するため、民間企業、大学、研究機関などと連携した共同研究も推進している。

CFDからマルチフィジックスCFD、そして数値タービンとSFS研究開発への進展

マルチフィジックスCFDに基づく数値タービンとSFSの応用例

マルチフィジックスCFDに基づく数値タービンとSFSによる共同研究